たかのクリニック / 内科・胃腸科・肛門科・外科・麻酔科

 
   
 

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高野真澄

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■2006.3.20 高コレステロール血症  


私が医師国家試験を受けた頃、正常コレステロール値は確か250mg以下だったように記憶しています。30年以上前なので定かでありません。
いつの間にか240mgまでとなり、数年前には220mg未満と決められました。
200mg以下にすべきだという製薬業界お抱え学者のような権威者も現れました。
最近、日本高血圧学会は高コレステロールの基準を240mg以上で、かつ悪玉といわれるLDLコレステロールが160mg以上に変更する意向を表明しました。大規模な臨床試験の結果、この範囲なら続発症の発生率は高くないことが判明したためです。

エビデンスに基づいた正常値が示されたにもかかわらず未だに定着しないのは何故か?
現在、日本では220万人が高コレステロール血症とされていますが、基準が変われば患者数は半減するでしょう。治療の必要がないのに病人にされている人が山ほどいるわけです。
正常値が上がれば患者が減り、薬の売れ行きが落ちて医者の収入が減る。
ころころ変わる「正常値」の真相は案外そんなところかも知れません。

コレステロールはどこまで下げれば良いのでしょう。
臨床試験では服薬による低下率が30%を超えると死亡のリスクが2倍以上高かったとの報告があります。低ければ良いという話ではありません。

健診で230mg。晴れて「高コレステロール血症」のお墨付きを貰って医者に行くと、センセイは「このままでは大変なことになる。きちんと飲みなさい」と高価な薬を渡すでしょう。
すでに理論武装したあなたは間髪入れずに、「この値で結構です。薬は要りません。」と反論しましょう。
基準が240mg以上と提唱されてから月日は流れましたが、いまだに220mgのままです。
患者さんは何を信用すれば良いのかわかりません。
マスコミの煽動記事や製薬会社の手前味噌のデータ、権威とされる御用学者の恣意的論文、不安を煽るテレビの健康番組等々はこの際聞き流した方が無難かも知れません。
 



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